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| ■バンドウイルカ「フジ」人工尾びれプロジェクト |
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フジ訓練について
リハビリ訓練(第1段階)
イルカは体に異物(いぶつ)を付けられることを極端に嫌がります。そのため、フジの人工尾びれ装着訓練は時間をかけて段階的に行われました。
イルカの健康管理には受診動作訓練が重要です。これは体温計の先端(せんたん)を肛門へ挿入して検温する姿勢を取ったり、採血のために尾びれの裏側を水面に出すように訓練したりすることを指します。
これにより、網で捕まえたり、プールの水を落水(らくすい)せずに検温や採血ができるようになります。
この受診動作訓練により、色々な健康管理に役立つ動作をさせることが出来ます。
このリハビリ訓練も受診動作訓練の1つです。
(1)「尾びれを出しなさい」というサインを出し、手で触れて、尾びれを触られることにフジを慣らします。
(2)手で触れられることを嫌がらなくなったら、布を尾びれにかぶせたり、ゴムのバンドを巻いたりして、尾びれに物をつけることを理解させます。
(3)尾びれに物をつけることを嫌がらなくなるまで(2)の作業を根気よく続け、状態が安定してきたら、いよいよ人工尾びれの装着となります。
手順にすると簡単そうに思えますが、装着訓練がすぐにうまくいったわけではありません。訓練の初期には、フジは人工尾びれをつけることを極端に嫌がりました。プールサイドで尾びれを支える訓練者の手を暴れて振り払い、プールの端に逃げてしまったり、人工尾びれを見るだけで逃げ出してしまったりということもありました。
しかし、訓練者は焦らずゆっくりと時間をかけて訓練を続け、時間とともにフジとの距離は縮まってきました。訓練にあたっては、絶対に強制はしないことを心がけ、フジが人工尾びれを見て自分から進んで尾びれを出して装着できることを目指しました。最近ではだいぶ慣れてきて、イルカラグーンプールでは、人工尾びれを装着してのリハビリ訓練も公開しています。
リハビリ訓練(第2段階)
人工尾びれの装着が安定してきたところで、次の段階のリハビリ訓練に入りました。
最初に行ったのは、人工尾びれを装着しての遊泳訓練です。人工尾びれを装着したからといって、病気をしてからあまり泳ぐことのなかったフジがすぐに泳ぎ出したわけではありません。プールの端に浮いていれば飼育係から餌をもらえるという状況にすっかり慣れていたのです。
(1) 餌をプールにまいて、それをフジが泳いで取りにいく形で訓練を開始しました。今後の開発上、直線的に泳がせてデータをとる必要があったので、道具を用いての訓練も追加しました。
(2)ダイビングで使用される鈴を棒につけ、水中で音を出して、フジを呼びます。現在はこの方法を応用し、2名の訓練者がプールの両端に別れて、フジにその間を往復させることに成功しました。
(3)次に行ったのは、フジを、普段いるメインプールから隣にある浅瀬プールに誘導することでした。当時はメインプールでフジの体を横向きに浮かせて尾びれの装着をしていたのですが、器具を落としてしまった場合、深さが4mあるこのプールでは、回収に手間がかかり、その間に落とした物をイルカが誤って飲み込んでしまう危険性があったのです。そのため、装着場所を深さ50cmの浅瀬プールに移す必要がありました。
(3)の訓練には長い時間がかかりました。浅 瀬プールの入口にある段差でつまずいてしまったのです。フジにとって、浅瀬プールは初めて入る場所。恐怖心が強く、なかなか中に入ろうとせず、訓練者との間にしばらく膠着(こうちゃく)状態が続きました。そこで、1)入口の段差に乗る、2)段差から浅瀬に入る、の2段階に分けて訓練を行うことにしました。最初の頃は、どうにか段差から落ちるようにして浅瀬プールに入るものの、すぐに怖がり、あわててもとのメインプールに戻る、ということを繰り返しました。
浅瀬プールに入ったら餌(えさ)を与える、体に触れてあげるなど、序々にフジを新しい環境に慣らしていき、今では浅瀬で人工尾びれの装着だけでなく、遊泳速度の計測器(ロガー)の装着や検温・超音波診断(エコー)もできるようになりました。
(4) 浅瀬プールに慣れたフジに行ったのは、ジャンプの訓練です。この訓練は、プール上に長い棒の先につけたターゲットを出し、水中から飛び出したイルカがくちさきでタッチするものです。フジの場合、人工尾びれを装着しない状態で始めました。最初はターゲットの位置を低く設定、タッチできるようになったら、少しずつ高さを上げていきました。ある程度飛べるようになってきたところで、人工尾びれを装着しての訓練を開始しました。
フジは人工尾びれを一杯振って水面から飛び出し見事ターゲットにタッチ。現在では水面からフジの体が全て空中にでるほど高く飛ぶことができます。今後は遊泳速度を計測するためにプールの周囲をグルグル泳いでまわる訓練に取り組む予定です。
これから
現在、フジの尾びれにはいくつかのタイプがあります。しかし、私たちは現在の尾びれが完成形だと思っているわけではありません。もっと適した材質があるのではないか、より良い着脱・固定の方法があるのではないか、と常に考えているのです。人工尾びれの開発は「できたから終わり」ではありません。まだまだ試行錯誤(しこうさくご)は続いているのです。同時に、人工尾びれの研究が進めば、本来のイルカの尾びれがもつ意味や役割が解明されていくのではないかと期待しています。
そのためにも、より多くの方に人工尾びれに興味を持っていただき、ご意見をいただきたいと思っています。色々な意見が出ることで、より良い尾びれができ、イルカの様々な研究にも役立つと信じているからです。

私たちスタッフは、これからも、皆さまに元気なフジの姿を見ていただけるよう、飼育・健康管理に努めてまいります。イルカラグーンプールでは、人工尾びれ作製の経緯をパネルで展示し、訓練を公開しています。飼育スタッフが皆さまの質問にもお答えします。元気に泳ぐフジに、ぜひ会いに来てください。
イルカラグーンプールの情報はこちら
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《お問い合わせ》
(財)海洋博覧会記念公園管理財団
海洋博公園事業センター 業務課 広報企画係 TEL:0980-48-2741
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